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【BD鑑賞】映像の20世紀プレミアム/昭和 激動の宰相たち

映像の20世紀プレミアム/昭和 激動の宰相たち
 制作年  2019年
 録画日  BD形式 2020年7月
 鑑賞年月 BD鑑賞 2020年7月


 戦前、戦中、戦後の日本にとってもっとも重要な時期に宰相として活躍(?)した近衛文麿、東条英機、吉田茂、岸信介を中心に激動の時代を語る番組内容。
いずれも教科書でしか知らない人たち。
自分の記憶に残る最初の総理大臣は池田勇人である。
有名な「所得倍増計画」のことは成人してから知ったように思う。
なんとなく威勢のよいエライ人、というのが小学校時代の思い出なのは、高度成長期という時代背景のせいかもしれない。

なかなか見応えのある内容の番組であった。
面白かったのは教科書風な理解からすると、逆の人物に感じられたのが近衛文麿、吉田茂、岸信介だろうか。
東条英機は、残念ながらダメだったなぁ。
一番ダメだったのは「生きて虜囚の辱めを受けず」と戦陣訓を垂れた張本人が、自死に失敗したことである。
「切腹は失敗するかもしれない」というのなら銃口咥えて死ねよ。
戦後、国民の評判が悪くなったことを「日本人の豹変振りに大きく落胆した」とウィキペディアに記載されていたが、事実なら呆れるばかりである。
戦勝国の裁判の無意味さを声高に叫び、戦前の大東亜の平和を乱した米国の横暴を主張したようではあるが…

さて近衛文麿。
なんとなく軍に押し切られた軟弱なお公家宰相というイメージ。
でも軍を抑えることには不退転の決意で臨んだようである。
この時代の憲法、創案者には思ってもいない欠陥があり、大臣がゴネると組閣ができないという解釈が成り立ち、それを軍部が利用して政府を翻弄した。
今風に言えばシビリアンコントロールがなっちょらんかったわけで、軍の横暴は誰も止められなかったと思う。
そういう意味でも東條英機の存在感は大きい。
「生きて虜囚の辱めを受けず」とは別な意味で生き残り、日本国家の正当性を主張すべきだったのではないか?
当時の価値観的には、日本と欧米各国の帝国主義に大差はない。

面白かったのは吉田茂。
左翼的教科書で育った者には驚きの流れが自衛隊の創立。
自分の教科書理解が間違っていたのかもしれないが、米国が再軍備を要求してきたとき平和憲法を盾に経済優先を声高に叫び続けた首相が吉田茂だったこと。
米国の食糧支援を引き出すのに国民のデモを利用した話には感心した。
後のインタビューで「食うや食わずの状態の日本に再軍備なんて。再軍備は金がかかる。金のかかることは米国、日本は経済たてなおし」と笑っていたのも印象的。

その米国におんぶにだっこの安全保障を対等にしたいと奔走したのだが岸信介。
岸は吉田の日米安保には不満があった。
戦後も占領軍である米国軍の駐留を認めるだけだった安全保障条約に、日本を守ることと有事には(憲法の範囲内で)日本も米国軍に協力というものに変えた。
冷静に考えれば国家間の安全保障条約とは、互いに手を組んで仮想敵国にあたることで互いの安全、平和を維持しようというものであろう。
だが当時の左翼には、これが戦前の軍国主義を復活させると猛反発。
ヒステリーじゃないのかと思うほどの抗議活動が起こる。
いわゆる60年安保。
新しい側面を見たようで勉強になった。

ことさら時の宰相たちを非難するわけではなく、彼らが主張したことを可能な限り事実として編成した努力が感じられる興味深い番組であった。
そうだそうだ、いや違うと様々な意見があるだろう。
戦中、戦後に青春を過ごした人々が我々に語ることのなかったことが描かれている。
日常的に議論すべき課題が多く含まれる良質な番組。
新たな事実が判明したら付け加えて、何度でも再放送すべきだと思う。
岸伸介や吉田茂は、知られていない「闇」も多そうだし。

因みに息子にもダビングして渡したら「面白かった」と言っていた。
彼らゆとり世代の戦後日本史理解って危ういものがある。
まぁ、自分たちも当時の大人たちには、そう思われていたかもしれないな。
最後の流行り左翼世代だったかもしれない…

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