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【劇場鑑賞】ばるぼら

ばるぼら
 制昨年  2019年
 監督   手塚眞
 出演   稲垣吾郎、二階堂ふみ、渋川清彦、石橋静河、美波、
      大谷亮介、片山萌美、ISSAY、渡辺えりほか
 劇場公開 2020年11月
 鑑賞年月 2020年12月


 「スタートレック/惑星アルギリスの殺人鬼(1967年)」の鑑賞で2020年のBD/DVD/VoD鑑賞はおしまいとなったので、2020年12月の劇場鑑賞を2作品レポートすることに。
まったく新型コロナ禍で2020年の劇場鑑賞は失速状態。
劇場鑑賞と帰りに一杯が唯一の趣味なので、かなりキツイ一年になってしまった。
よくもまぁ、プッツンせずに耐え忍んでいるものだ。
まぁ、自分よりMMシアターのMさんや居酒屋Mの女将は大変だ。
死活問題だからなぁ…

早く落ち着いてもらいたいものだが感染症だからゼロにはならないだろう。
どういう状態で「止む無し」と手を打つか、そろそろ考えないと経済も社会も、何より人々の心が疲弊してしまうのではないかと案じている。

 原作は読んだ記憶がある。
読んだといっても熱心に愛読した和kではないし、全編を読破したわけではない。
ビッグコミックで1973年(昭和48年)7月10日から1974年5月まで連載されていたのだが、果たして連載で読んだのかどうか…
あとで単行本で読んだものか…記憶は定かではない。
正直、そんなに面白いと思って読んだ憶えはないが、「ばるぼら」という韻は妙に心にひっかり印象に残っている。

原作漫画でも本作でも冒頭に語られる「都会が何千万という人間をのみ込んで消化し、たれ流した排泄物のような女、それがバルボラ」というフレーズがよい。
妙に小説っぽい。
原作漫画が登場する少し前、手塚治虫は「子供向け漫画」の作者という評価が世間では一般的だったと思う。
いや、漫画自体が子供向けという評価だった。
そして大人向けの漫画はエロティックなもので、それは即ち低俗と同義だった。

手塚治虫は、そのことに反発していたのだと思う。
もちろん子供向け漫画というのは存在する。
でも漫画だって大人向けのもや小説のように文学的、芸術的なものもある。
表現手法として小説や映画に勝るとも劣らないもの、それが漫画(アニメ)と考えていたに違いないと思う。
だから「千夜一夜物語(1969年)」、「クレオパトラ(1970年)」、「哀しみのベラドンナ(1973年)」の3作品を虫プロの社運をかけて制作した。
漫画では「奇子」、「シュマリ」や「ばるぼら」などをビッグコミックで描いた。

そういう手塚治虫の文学(芸術)=高尚、漫画(アニメ)=低俗という評価(既成概念)と闘う反骨心と、漫画で小説を超えられるかという悶々とした気分が主人公の美倉洋介に投影されている。
だから原作漫画は、当時の自分には重い作品だったのだろう。

 さて主演が稲垣吾郎、二階堂ふみである。
稲垣吾郎って、ネジの一本外れた狂気を演じるとうまいなと思ったりする。
二階堂ふみは、それこそカメレオンのような女優というイメージがあって「翔んで埼玉(2018年)」の「草でも食わしとけ!」から「人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年)」の無理心中女、そして朝ドラ「エール」の音さんまで、多彩な演技を披露する若手女優という感じ。
実は、意外に出演作品をコレクションしていた。(未鑑賞も多いけれど)

 ・悪の教典(2012年)
 ・脳男(2013年)
 ・四十九日のレシピ(2013年)
 ・私の男(2013年)※
 ・渇き。(2014年)
 ・蜜のあわれ(2016年)※
 ・SCOOP!(2016年)※
 ・翔んで埼玉(2018年)
 ・人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年)
 )2020年11月末現在)

劇場鑑賞も「脳男」、「四十九日のレシピ」、「渇き。」、「翔んで埼玉」、「人間失格 太宰治と3人の女たち」と邦画若手女優としては多いほうだ。

 さて本作。
市内の少し北にあるミニシアターで上映されていた。
12月1日に観たのだが、映画の日ということで一律千円。
毎日でも、いいのになぁ…
「ばるぼら」に思いのある世代、つまり爺さん世代が多いのかと思ったら意に反して女性客が多いのには驚いた。
そうか、稲垣吾郎か…おそるべしSMAP。
まぁ、平日でもあるし、文化芸術活動は女性が多いからな。

映像は、意図したものだろうけれど極めて70年代的。
雑踏感が溢れる新宿のガード下に、酔いつぶれている女性の姿が…
そして「都会が何千万という人間をのみ込んで消化し、たれ流した排泄物のような女、それがバルボラ」となるわけである。
いいねぇ、この雰囲気。

ところがである。
この街の風景、後にもムネーモシュネーの店などでも描かれるけれど、それらに比較すると美倉の生活の場が今日的でバランスが悪い。
携帯電話も使われているし、小説の原稿はパソコンを使っている。
意図したものかもしれないが、レコードの傷で生じたノイズのようで気になった。
この違和感が、ばるぼらが美倉に「これで書きなよ」と言って渡す万年筆のエピソードに繋がらない…というか、なぜ万年筆かと浮いてしまったように思う。

美倉洋介は異常性欲の持ち主ではなかったかな?
マネキンとのシーンやラストのばるぼらとのシーンがそれを表している?
いやぁ、少し平常時の描写が足りないような気がする。
美倉が悶々としているのは表層的には文学小説とはほど遠い流行作家という世間の評価、天才と謳われながら次作が書けない自身への不信と焦り、政治や恋愛に立場を利用しようとする周囲への苛立ち、それらが性という欲望にいびつな影響を与えているという設定では?
稲垣吾郎のネジ一本外れた狂気の演技をもってすれば、もっと容易に美倉の緊張した心理状態を描写できたのではないかなぁ。
原作漫画のラストは忘れてしまったが(憶えていない)、ちょっと物足りないな。

稲垣吾郎、二階堂ふみの演技はよかった。
二階堂ふみの裸って、昭和の匂いがするなと思った。
「エール」の音さんの笑顔が浮かんできて、ちょっと困った。

劇場鑑賞作品も、少しづつ選択肢が広がってきた。
時間と懐具合と相談しながら鑑賞作品を選べるというのは、幸せなことである。

ばるぼら - 稲垣吾郎, 二階堂ふみ, 渋川清彦, 石橋静河, 美波, 手塚眞, 黒沢久子, 古賀俊輔
ばるぼら - 稲垣吾郎, 二階堂ふみ, 渋川清彦, 石橋静河, 美波, 手塚眞, 黒沢久子, 古賀俊輔

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