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【BD鑑賞】道


 制作年  1954年
 監督   フェデリコ・フェリーニ
 出演   アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、
      リチャード・ベースハート、アルド・シルヴァーニ、
      マルセーラ・ロヴェーレほか
 劇場公開 1957年5月
 録画日  BD形式 2017年10月28日
 鑑賞年月 BD鑑賞 2020年8月


 記憶の捏造になりかねないのだが、現在の頭の中にある思いを書いてみる。
DVDのジャケットにも使われているジュリエッタ・マシーナの愛嬌のある瞳、
だがしかし表情的にはどこか哀しみに堪えているかのような絵柄を、映画がまだ観るものではなく読む時代だった頃の記憶として残っている。
この記憶が正しければ、それは1970年前後のことである。
しかも名作という記憶までついている。
したがっていつかは観ようと思っていた。
これは「禁じられた遊び(1952年)」の思いと、ほぼ一緒である。
「禁じられた遊び」は幼女ポーレットに魔性の女の萌芽を感じ、世間様が言うほど傑作とは思えなかったのだが、果たして本作はどうだろうか…

物語はイタリアのとある寒村から始まる。
芸の手伝いをする相方の少女が死んでしまった旅芸人のザンパノが、その妹のジェルソミーナを一万リラで買い取る場面から始まる。
あらら、人身売買だよ。
「これだけあれば当分の間、食べていける」とお母さん。
うーん、戦争が終わったばかりのイタリアである。

粗野で暴力的なザンパノと頭が弱いけれど心根の素直なジェルソミーナの、旅芸人としてのロードムービー的な物語である。
時に反発しながらもジェルソミーナは、次第にこの生活を受け入れ、否、むしろ幸福感さえ感じるようになるのだが、それすら哀れな感じがする。

なにせザンパノが酷い男なのだ。
ロクに彼女に芸を教えることはないし、本人の芸も酷いものである。
こんなものが大道芸人的に受けるのかと思うほどだ。
彼女が別のサーカスの若者からラッパを教わろうとすると邪魔する。
そのサーカスと合流して芸を披露するが、すぐ乱暴狼藉をはたらいて追い出される。
移動途中に寄った修道院では燭台(だったかな)を盗む。
挙句の果てにはサーカスで知り合った若者を殺してしまうのだ。
なんちゅう下衆な野郎でであろうか。
とてもイタリアのチョイワルオヤジには見えない。

そうそう本作、イタリア映画っぽくない。
まぁ、勝手に陽気なイタリアを固定観念化している自分の想像力に問題があるのかもしれないけれど、哀れなジェルソミーナに涙が止まらん。

そんな哀れな彼女をザンパノは見捨てるのだ。
この場面は、あの若者を殺してしまった時より衝撃的である。
「ザンパノ、貴様狂ったか!」と思わず叫びたくなる。

時は流れても相変わらずの芸で旅回りしているザンパノ。
自分の出番の前に海辺を散歩していると…
洗濯をしている女が「ラー、ララララ」とジェルソミーナのラッパのメロディーを口ずさんでいる。
「その歌はどこで?」と尋ねるザンパノ。
「数年前に、この辺りで芸をしていた頭の弱い女が口ずさんでいた。でも彼女は亡くなったよ」と聞かされる。
その夜、ザンパノは罪の意識に目覚めるのか、大酒をかっ食らい海辺で嗚咽する。

ザンパノの人生はクソのようなものだが、それでも彼は自分自身で道を選択してながら生きてきたと思う。
彼はジェルソミーナから選択の道を奪い、挙句に彼女を捨てた。
その彼女が、唯一選択したのはクソのザンパノと一緒に生きることだったのに…
哀れなり、ジェルソミーナ。

道【淀川長治解説映像付き】 [DVD] - ジュリエッタ・マシーナ, アンソニー・クイン, リチャード・ベースハート, アルド・シルヴァーナ, フェデリコ・フェリーニ
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