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【BD鑑賞】冬の猿

冬の猿
 制作年  1962年
 監督   アンリ・ヴェルヌイユ
 出演   ジャン・ギャバン、ジャン=ポール・ベルモンド、
      シュザンヌ・フロン、ガブリエル・ドルジアほか
 劇場公開 1975年9月
 録画日  BD形式 2018年3月10日
 鑑賞年月 BD鑑賞 2020年7月


 ジャン・ギャバンとジャン=ポール・ベルモンド狙いの鑑賞。
制作時の感覚としては、新進気鋭のジャン=ポール・ベルモンドと大御所俳優のジャン・ギャバンの共演というところだろう。
大いに話題になったのだろうなぁ。
1904年生まれのジャンギャバンは58歳か。
58歳にしては老け顔かも…
まぁ、昔の人は寿命からくるのか、年齢より老けて見えるものだ。
逆に今の年寄りは若く見えるということ。
自分も64歳だった父親より、若く見えるとは思う。
まぁ、今どきの64歳顔だけれど…

 酔っ払いの話である。
酒を呑まない人には、この老人と若者の奇妙な友情は分かりにくいかも。
第二次世界大戦、迫りくるドイツの恐怖に怯えながらもノルマンディーの片田舎で
毎晩呑んだくれている主人公アルベール。
タイトルは彼が語る中国の昔話。
「中国では冬の初めに人里に迷い子ザルがおりてくる。住民は猿にも魂があると信じているので子ザルたちが日常を取り戻し仲間と再会できるように、できる限りの手を尽くしてサルを森へと連れもどす」に由来する。
本当に、こんな昔話というのか言い伝えが中国にあるのかどうかは知らない。
呑んだくれのアルベールが酒を断ってから15年、
彼の前に突然現れたフケという呑んだくれの若者、彼をこの冬の子ザルに例えるための作り話かも知れない。

まぁ、物語はそういう流れで展開する。
どんな事情があってのことかは分からないが、フケは寄宿学校にいる娘を連れ戻すためにやってきたようである。
フランスは、こういうパターンが多いのかな?
「男と女(1966年)」でも二人の子供が同じ寄宿舎に預けられていた。
まぁ、ちょっとワケありな感じではある。

マリーを引き取って町を去るまでの数日間の珍騒動が描かれる。
確かに訳あって酒を断っているアルベールが、フケの言動に若き日の自分を重ねる心情はよく分かるし一肌脱ぐ気持ちも分かる。
もっと身に滲みるのは、酒を断って飴をなめているアルベールに精気が無いことだ。
彼は呑兵衛具合を心配する妻に誓いを立てて酒を断っている。
安ホテルを経営しイザコザもなく順風満帆な生活のように妻は思い、アルベールも特別な不満はないのだが…やっぱり精気はない。
男子はいくつになっても夢と自由と冒険が必要なのだ。
それがアルベールの言う「恋しいものがあるなら、それは酒じゃなく酔いだ」という言葉に端的に現れている。
痺れるなぁ、まったくそのとおりである。

訳があって2020年4月からノンアルコール生活が続いている。
特に酒が呑みたいと思うこともなく続いているのには理由がある。
元々、家で呑むことはなかった。
妻が居酒屋の女将のように相手をしてくれるのなら別だが、金ももらえないのに接待するのは酒好きの妻の場合だけだろう。
それでも退職してからは、なんとなく家で呑んでいた。
缶ビール一杯を酒とは思ってはいないけれど…
そして新型コロナの影響で「集まって呑む」ことは不要不急の事柄に分類されてしまい、友人・知人と杯を交わす機会が無くなってしまった。
それで思うのが「恋しいものがあるなら、それは酒じゃなく酔いだ」という言葉。
ハマるなぁ、この心情。

 寄宿学校のシスター(?)連中と、どう収まりをつけたのかは知らないが、無事にマリーを引き取ることになったフケ。
旅立ちの朝、アルベールも父親の墓参りに同じ列車に乗る。
前夜のドンチャン騒ぎについては黙して語らず。
これも、いいねぇ。

あっ、もう一つ。
アルベールの妻も、いい人です。
本当にアルベールのことは心配しているのだけれど、男子的にはそれは「諦め」を受容させられること、束縛されているという感情にもつながる。
だからアルベールは妻に「気も利くとてもよい妻だ、愛している」と言うけれど、同時に「やかましい!うるさい!」、今風に言えば「ウザイ」と言い放つ。
これ、とてもよく分かる。

冬の子ザルが一匹駆け抜けたあと、元の鞘に戻って長生きして欲しい夫婦である。

冬の猿 [DVD] - ジャン・ギャバン, ジャン・ポール・ベルモンド, シュザンヌ・フロン, アンリ・ベルヌイユ
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この記事へのコメント

  • zabuko

    初めまして。(コメントするのは、ですが。毎日、お邪魔しているので初めましてのような気は、しませんが。いつも、お邪魔しております。)

    てっきり勝手に30代ぐらいの方なのかと思ってました。
    先輩だったとは・・・。

    我が家の夫とは真逆で、うちの夫は外で、ほぼ飲みません。
    お金を払って、そんなに美味しくないものを食べるのも、頭の悪い、おねえちゃんと、お金を払って話すのも無理と、毎日、家飲みです。
    1品、出来たら、それに合う、お酒を嫁と話しながらが大好きな人です。(お酒だけを飲むことが出来ない人なので、次々、作って並べます。大忙しです。)
    ちなみに私は、お酒好きのアルコールアレルギーです。残念ながら舐める程度です。なので未だに、お酒に合うメニュー、味付けが判りません。

    もう少し、アルコール控えて貰いたいなと思いますが「だって美味しいから仕方ない。もっと不味い物、作ってくれたら控えられる。」と何だかよく判らない言い訳をされます。

    「お酒、止められて体調は、違いますか?」とお聞きしたいです。

    今後も、映画の紹介、楽しみに、お邪魔します。それでは、また・・・
    2021年01月09日 17:09