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【DVD鑑賞】札つき女

札つき女
 制作年  1937年
 監督   ロイド・ベーコン
 出演   ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガート、
      ローラ・レイン、イザベル・ジュウェルほか
 劇場公開 1937年6月
 録画日  DVD形式 2020年7月2日
 鑑賞年月 DVD鑑賞 2020年7月


 本作もベティ・ディヴィス狙いの鑑賞である。
それにしても「札つき」とは酷いなぁ。

「札つき」の語源は江戸時代に遡る。
当時は「連座」という制度があった。
罪を犯すと家族や「五人組」と呼ばれる隣近所の人も罰せられていた制度のこと。
「五人組」と言っても人数は関係ない。
古代律令制下の五保制に由来するだけで具体的な数字を表すものではなく、農民をグループに分けて五人組と呼んでいたらしい。
当然だが家族や近隣に罪を犯す可能性がある者を家族のメンバーから削除していた。
親が息子や娘を家族のメンバーから削除することを勘当(かんどう)と言う。
そうして奉行所に息子や娘を勘当することを願い出て、それが受理されると勘当されたことがわかるように「人別帳」というリストの該当者に札をつけた。
「人別帳」で要注意人物に札をつけことが「札つき」という言葉の由来である。

つまり悪さをする可能性の高い者たちのことを「札つき」と呼んでいたわけだが、本作に登場する5人の女性たちは「札つき」とは少し違う。
でも本作が公開された昭和12年の感覚として、このような職業に従事する女性たち(ホステス!)は札つきだったのだろう。
まぁ、今でもホステスに対するイメージは似たようなものだろうが。
そういえばNMAP(New Movie And Party)のKさん、「田舎の親には言えないです。ファミレスの深夜勤務と言ってあります」と言っていたなぁ。

 本作の舞台は禁酒法時代のニューヨーク。
街のギャングが経営するクラブで働く5人の女性メリー、ギャビー、フロリー、エミイ、エステルが主人公である。
彼女たちが勤務するクラブが新興勢力なのか、やり手のヴァニング一味に経営が移ることになり、ぼったくりの高級クラブに。
しかも客とのアフターを推奨(強要か?)していた。

あぁ、でも確かにこういうイメージはあったなぁ。
今では笑い話になるけれど、古くからの知人Y女史が勤務していたスナック。
Y女史から「オタクの会社の人って、誰も店の子をアフターに誘いませんね」と言われたことがあり、「そうなの。じゃあ、行く?」と応えた。
「いいですよ、○○喫茶で待っててください。30分でくらいで行きます」と。
この時の気分は、ほとんど妄想状態で「ホテル代は大丈夫かな」と財布の中身を確認したり、妻への言い訳を考えたりしていた。
実際は○○喫茶で1時間ほど雑談しただけなのだが…
逆にアフターでホテルに行かなくてもいいのだと味をしめてしまう結果になったが…
まぁ、あの時ナニゴトかあったら、ここまで長くY女史と仲良くはならなかっただろうなと思うし、それより何より家庭が崩壊している。

今では、それを笑い話のようにY女史と話したりするのだが、同じようなことを敬愛する元上司Mr.身勝手君の慕っている女将からも言われたことがある。
店が終わってから出張先のホテルのラウンジで3人で軽く呑んだのだが「こうやって部下と3人で呑めるのも、あなたと私、あのとき何もなかったからよ」と女将から言われていた。
Mr.身勝手君の苦笑いが忘れられない。
とにかく、夜の街には危ういイメージがつきまとうものだし、男子はどこかそれを愉しみにしているものだ。
疑似体験で済ませることが肝要であろう。

 ある日、数人の若者がクラブで派手に遊行する。
中の一人が目をつけられて店内(地下)の賭博場へ。
案の定、ぼったくられて高額な請求をされてしまう。
彼は小切手で支払うのだが…

アフターを任されたのがメリー(ベティ・ディヴィス)。
タクシーの中で「あの小切手は不渡り。ぼったくり連中驚くぞ」と豪語する若者に、「ホテルへ戻ったら荷物をまとめて、すぐチェックアウトして」とアドバイス。
「彼らは、それでは済まないわ」と言って、自分もアパートへ戻る。
翌日、彼は殺害されて発見された…

メリーが被害者と会った最後の人物ということで他のホステスと遊びに来ていたメリーの妹と一緒に警察に拘留されることに。
ヴァニング一味の犯行に間違いないのだが、彼らは賄賂と悪徳弁護士を抱え込んでいて、警察も簡単には動かない。
そんなヴァニング一味を次席検事グラハム(ハンフリー・ボガード)は撲滅しようと考えており、メリーたちの協力を得ようとするのだが…

おやおや、ずいぶん若々しいボギーだこと。
1899年生まれだから38歳か…
えぅ?ボギーって19世紀生まれの人だったんだ、とビックリ。
まぁ、でも物語はメリーたちホステスの存在感が大きく、あまり目立たないかな。

このあと一旦はヴァニング一味を裁判にかけるのだけれど、悪徳弁護士の企てで検察側は撃沈してしまう。
彼女たち、それぞれ思惑はあるけれどヴァニングに逆らえば、夜の街で生きていくことができなくなってしまう…

ところがメリーの妹が売春を強要され、逃げ出そうとしたところをヴァニングによって階段から突き落とされ死亡してしまう。
さらに現場を目撃したエミイも拉致・監禁されるに及んでメリーの怒りが爆発する。
遂に彼女たちはヴァニング一味と対峙することを決意するのだった。

 今風に言えばギャング一味の内紛劇で、女たちが闘う物語でもある。
ハラスメント仕立てに仕上げることも可能だ。
スキャンダル(2019年)」に流れは近いかもしれない。
どうやら実際の事件をモチーフにしているらしい。
ラストの台詞にもあったけれど、グラハム次席検事は後に州知事になったらしい…

彼に焦点をあてれば社会派の物語になったと思うが、5人のホステスを中心に据えたことで1937年の作品としては珍しいタイプの物語になったのではないかと思う。
グラハム次席検事とイイ感じなって終わるのがハリウッド映画の常套手段ではないかと思うが、それもなく颯爽と街を去る5人の女性たち。
もっとスタイリッシュに演出してあげられなかったものかなぁ…
いやいや時は1937年だ、十分に挑戦的な幕引きではないだろうか。
ベティ・デイヴィス、カッチョええなぁ。

それにしてもセンスのない邦題だ。
そもそも内容が違うじゃないか!
まぁ、これも時代感覚が色濃く反映されているのだろう。
ホステスのイメージは「札つき」のワルだったのだ…

札つき女.jpg

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