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【BD鑑賞】フランケンシュタインの誘惑/消された指紋

フランケンシュタインの誘惑/消された指紋
 制作年  2017年
 出演   【ナビゲーター/ナレーション】吉川晃司
      【出演】岩瀬博太郎、松本勉  【司会】武内陶子
 劇場公開 劇場未公開
 録画日  BD形式 2017年8月
 鑑賞年月 BD鑑賞 2017年9月


 今回は、個人識別のための指紋鑑定を世界で初めて提唱したイギリスの医師ヘンリー・フォールズの悲運の人生の物語である。
科学史の闇の話、事件簿としてはパンチに欠けるかな。

彼はイギリスの片田舎で暮らす貧しい医師だった。
もともとは進化論を証拠立てるために、指紋が使えるのではないかと考えたらしい。
そのきかっけが、1874年に宣教師・医師として日本を訪れた際、大森貝塚発掘の土器に3000年前の縄文人の指紋を発見したことだったという。
そ、そうか、指紋認証に日本は、こんな時から縁があったのか。

進化論の証拠として、人種などによって指紋が異なるのではないか
ということのようだ。
その後、多くの指紋を集めたが人種による差は認められず、指紋は一人ひとり違うという「万人不同」であることを発見することになった。
また、指先を傷つけてみても、指紋が以前と同じ形で再生すること、さらに子供の指紋を追跡調査して加齢で形が変わらない「終生不変」であることも確認した。

ということで彼は個体識別に指紋が有効であり、
そこから指紋が犯罪捜査に役立つことを提唱した。
というか憑りつかれたように警察関係者に働きかけたのである。
だが、当時の英国は歴然とした階級社会。
最下層の名もない医師が発見した事象に、耳を傾ける者はいなかった。

一方、その階級社会の上層にいるメンバーに、同じく指紋を取り扱う人間がいた。
英国領印度で行政官をしていたウィリアム・ハーシェルという人物が、指紋を個人特定のサイン代わりに使用していたのである。

またヘンリー・フォールズと似たような発想で、優生学の検証のために指紋が使えるのではないかと考える研究者がいた。
進化論を提唱したダーウィンの従兄弟のフランシス・ゴールトンで、彼は上流階級の人間は生まれながらに人種的に優れているという優勢思想の持ち主で、後に優生学を提唱することになる男である。

同じ上流階級に属する二人。
フランシス・ゴールトンは、何かのサロンでウィリアム・ハーシェルのことを
知ったのだろう。
二人で共同して指紋の研究を始めた。
残念ながら(!)優生学上の成果は無かったが、個人識別ができるということでヘンリー・フォールズ同様、犯罪捜査に使えると結論した。

そういう有名人が著書で語ったものだから政府も大いに着目し、著書の発表から2年後の1894年にスコットランドヤードで指紋認証が正式採用された。
ヘンリー・フォールズが科学誌ネイチャーに論文を発表してから、
14年が過ぎていた。

しかし、この間にヘンリー・フォールズが注目されることは一度もなく、
上流階級のフランシス・ゴールトンから完全に無視され続け、
指紋認証の歴史から彼は抹殺されたのである。

まぁ、階級闘争の波に呑みこまれた感のある人生という感じだ。
彼は終生フランシス・ゴールトンと争い続けた。
フランシス・ゴールトンの死後は、ウィリアム・ハーシェルとも争った。
彼らにしてみればヘンリー・フォールズのことは、
難癖をつけ続けるゴキブリぐらいの意識だったろう。

現在はヘンリー・フォールズの業績も、それ相当に評価されているそうである。
100年かかったか…
しかし、優生学ってのは酷い話だよなぁ。

フランシス・ゴールトンは生前、「生まれつき人間は平等などということはあり得ない」と豪語していたそうである。
まったく…この頃の白人というのは、どうしようもなく幼稚だなぁ。

フランケンシュタインの誘惑/消された指紋.jpg
ウィキペディアより

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