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【BD鑑賞】フランケンシュタインの誘惑/ゆがめられた天才 幻の世界システム

フランケンシュタインの誘惑/ゆがめられた天才 幻の世界システム
 制作年  2017年 
 出演   吉川晃司、池内了、川原圭博  【司会】武内陶子
 鑑賞年月 BD鑑賞 2017年9月


 ニコラス・テスラのお話。
前回のアラン・チューリングといい、本作も闇の事件簿という観点からは
少し離れたような内容に思うが、これはこれで面白い。

彼の名前を最初に耳にしたのは、いつだっただろうか?
プレステージ(2006年)」という作品に、彼が登場する。
デヴィット・ボウイが演じていた。
扱いはマッドサイエンティスト的で、物質転送装置の発明者として描かれていた。

この作品の備忘録にエジソンとの電流戦争の話が書いてあった。
「業界では有名な話」とあるので、この頃の自分はテスラが交流方式を
提唱した天才科学者ということは知っていたようだ。
業界そのものに身を置く者ではないが、どこかで耳にしたのだと思う。
いつの頃のことだったのかは憶えがない。

昔から不思議なことが一つあった。
北海道と本州、送電線が繋がっている。
ところが、この間は直流送電である。
交流のほうが送電効率がよいのであれば、どうしてわざわざ直流にするのだろうと
若い頃から不思議で仕方がなかった。

東日本大震災で電力各社間の融通電力量が少ないことが問題視された。
まぁ、正しくは震災の影響で想定以上の融通電力が、
必要になったということなのだろうが…

機会があって業界の人に、この疑問をぶつけてみた。
いくつか理由があるらしいのだが、
最大の理由はコストが安く済むということだった。
現在の送電交流は三相式なので、送電線が3本必要になる。
送電鉄塔をみると分かるが、必ず3本セットである。
まぁ、数え方によって架空地線を入れて4本かも知れないが…

直流だとプラスマイナスで2本で済む。
その設備コスト、保守・運用費用を考えると直交変換しても、
まだ安いということになるらしい。
ほかにも交流で長距離送電する場合、技術的な課題もあって
海底ケーブルを使ってという場合、あまり適さないらしい。
技術屋ではないので、細かい説明は忘れてしまった。

エジソンが直流で白熱電灯の普及を急ぐため、
発電所を建設し電気事業に乗り出していた。
テスラは直流送電方式では限界があることを予見していた。
直流は電圧変換が難しい。
従って一般家庭用に送電する場合、低圧で送ることになるが、
送電線の抵抗による電圧降下があって、長距離送電に適さない。
必然的に発電所の数が必要になり、広くあまねくということを考えると問題が多い。

それでも直流送電が先行したのは、交流で作動するモーターが無かったからである。
交流で作動するモーターさえあれば問題は解決する。
そうすれば大電流を高電圧で送電できる。
さらに変圧して消費する場所で低圧にすれば、
効率よく広くあまねく電気を配ることができる。
現在の電力の送配電システムが完成する。

だが、大規模な発電所、送電線の建設、配電設備の充実などインフラ投資に
莫大な費用が必要で、なかなか投資家が現れなかった。
テスラは特許を放棄し、WE(ウェスタン・エレクトリック)の投資を仰ぐことに。
こうしてエジソンの直流送電は駆逐された。

勢いに乗ったテスラは無線通信に、その能力を傾注する。
無線通信の将来性に目をつけたということだが、その先見性は驚くべきものだ。
現在、われわれは無線の海の中で暮らしているようなものだが、
基本的な着想はテスラが既に提唱しているものばかり。
本当に驚くしかない。
彼は情報だけでなく電力供給すら無線通信で実現しようとした。

しかし、時代は20世紀初め。
まだ電燈が普及し始めたばかりの頃である。
ラジオすら、この世に存在しない。
そんな時代に携帯電話的なこと、レーダー、それを使ったミサイル兵器など、
いくらアイデアを提唱しても周辺技術も生産技術もついてこない。
やがて彼は投資家から見放され、孤独のうちにその生涯を閉じる。

ところで昨今注目を集める太陽光発電。
再生可能エネルギーの担い手として普及が期待されている。
面倒なのは、太陽光発電が直流であることだろう。
現在の送配電システムは前述したように、交流を前提としている。
交流の制御に適したシステムになっているのだ。

当然、直流で発電した太陽光の電気は交流に変換される。
まぁ、効率は落ちる。
さらにことを面倒にしているのは、自然条件に左右されるということ。
常に一定の電力を供給してくれるのなら問題は無い。
おテントウさま頼りでは、それをアテに電気の供給計画は立てられない。
なかなか一筋縄ではいかないものだ。

ただ、分散型電源として少電力消費を賄うという点では期待ができる。
エジソンの直流送電は大規模な発電所を必要とした。
交流の大規模な発電所に較べれば小さいだろうが…
太陽光発電所は比較的小規模な発電に適している。
大規模な現在の送配電システムと太陽光発電を適切に組み合わせることで、
安価で安定した電力供給が実現できる可能性は高いと思う。

まぁ、エジソンとテスラのような電流戦争、GEとWEの企業間競争のような悪弊に翻弄されることなく、おだやかに供給形態が変化することで、電気がもつ力を皆が平等に享受できるシステムを形成してもらいたいと思うのである。

#5「ゆがめられた天才 幻の“世界システム”」 - 吉川晃司
#5「ゆがめられた天才 幻の“世界システム”」 - 吉川晃司

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