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【BD鑑賞】アインシュタインの誘惑 いのちの優劣 ナチス知られざる科学者

アインシュタインの誘惑 いのちの優劣 ナチス知られざる科学者
 制作年  2017年  
 出演   【ナビゲーター/ナレーション】吉川晃司
      【出演】仲野徹、松原洋一
      【司会】武内陶子
 劇場公開 劇場未公開
 録画日  BD形式  2017年
 鑑賞年月 BD鑑賞 2017年3月


 中学生になってからだろうか、優生保護法というのを習った記憶がある。
現在は母体保護法というらしい。
条文は読んだことは無いが、不妊手術や人工妊娠中絶に関する事柄が規定されているのだろうという漠然とした認識である。
母体は保護されるべきもの…

今回、番組を観て少し驚いたことがある。
優生学についてだ。
20世紀初めに、世界的に流行したらしい。
流行ったというより、支持を集めたというほうが正しいかも知れない。
各国で、優生学に基づいた政策が立案され実行された。
現在は、その倫理的な側面から人間に対しては扱いがタブー視されているようだ。

まぁ、ロクな解釈ではないが、早い話が遺伝的に問題のある子孫を残さない、
そういう類の政策である。
しかし、これはたぶんに危険な思想ではないかという気がする。
その最たるものはナチスドイツの人種政策であろう。

番組内で紹介されていた事例を見ていると、
今では開いた口が塞がらないような話が、
まともな科学者の理論として語られている。
なかでも今回紹介された人物、ユダヤ人を劣った人種と決めつけ、
その特定方法を模索し続けた男、オトマール・フォン・フェアシュアー。

20世紀初頭は科学の幕開けの時代でもある。
ある意味、人間は有頂天になった。
生物の頂点にたち、世界を支配するのは人間以外はあり得ない。
科学によって人々の生活が劇的に変化してゆく。
その様は、現代以上であることが想像できる。

しかも、現在は過去の延長線上の発展である。
20世紀初頭は、過去には存在していないものが溢れだしてくるのだ。
自動車、飛行機、映画、ラジオなどなど、枚挙に暇がない。
生活も戦争もダイナミックに変化する。
目もくらんだことであろう。

優生学はダーウィンの進化論から、このような人間社会の発展を背景にして
生まれたと言えるのではないだろうか。
さらに優秀な種として地球に君臨するためには、汚物のような劣等種を排除する…
なんの疑問もなく受け入れられた思想なのだろう。
恐ろしい…

オトマール・フォン・フェアシュアーは、優生学を信奉した。
もとはドイツ民族の健康を守ること、病気や障害を遺伝で防ぎたいという思いから、
研究に没頭してゆくのだが、徐々に排他的な思想に蝕まれてゆく。
当初は結核を研究していたようだ。
結核の発症には遺伝的な特質であるという理論を発表し、名声を得る。

しかし、その治療法が遺伝子を伝えない、残さないということで、
断種というのはいかがなものか。
さらに病気や障害が子孫に受け継がれることを防ぐという理由から、
障害者には対して不妊を進める政策に加担する。
彼は立案だけでなく、実際に問診によって判定もした。

これには、当時のドイツの国内事情もあるようだ。
世界大恐慌の中で、障碍者支援、救済の国家予算が膨らんでおり、
これを抑制するという名目もあった。
コメンテーターが言っていた言葉が印象的だった。
「悪事は善意をまとって行われる」だったかな。

驚くべきは、ユダヤ人を特定する理論として、
血液中のタンパク質にユダヤ人特有の特質があるという説をぶち上げる。
そして弟子を通じてアウシュビッツのユダヤ人から大量に血液を
強制的集め始めるのだ。

戦後、弟子は戦犯として裁かれたが、
オトマール・フォン・フェアシュアーは逃げた。
しかも、大学教授、遺伝子学界の重役などを歴任、おまけに交通事故死した際には、
「信仰心があり模範とする人物であり、とても寛容であった」と追悼された…
戦時中のことは、ひとことも語らなかったようだが、「国のために尽くした」という
信念は揺るがなかったであろう。
科学者の驕りでしかないと思うのだが…

彼が戦後裁かれなかった理由の一つに、米国の事情があるとコメントされていた。
優生学そのものは当時は何のためらいもない学説であったし、
先進国は米国であった。
彼を裁くため法廷に出すと優生学の根本に触れることになり、
それを積極的に推進していた米国自身に火の粉が降りかかる…そんな懸念から
彼を罰金刑に処しただけで済ませたというのだ。
何やら米国の国家としての本質が垣間見えてたような気がした。

オトマール・フォン・フェアシュアー、忘れてはいけないが覚えにくい名前だ。

#18「“いのち”の優劣 ナチス 知られざる科学者」 - 吉川晃司
#18「“いのち”の優劣 ナチス 知られざる科学者」 - 吉川晃司

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