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【YouTube鑑賞】白夜の妖女

白夜の妖女
 制作年  1957年
 監督   滝沢英輔
 出演   月丘夢路、葉山良二、大矢市次郎、滝沢修、植村謙二郎、
      河野秋武 、西村晃、浜村純、木室郁子、小林正ほか
 劇場公開 1957年8月
 鑑賞年月 YouTube鑑賞 2017年1月


 昨年(2016年)、息子が無事に就職し社会人となった。
高校生になってからバイクに乗りたいと言いだした。
親としては、特に母親だがバイクには乗って欲しくはなかった。
やはり事故の確率が高い。
なんとなく性格的にも事故りそうなタイプだし。

さりとて禁止するのもどうなのかと思い、免許取得だけは許可した。
ところが、その後思いもよらぬど根性のバイト生活で、念願のバイクを手に入れた。
それほど長続きするまいと思っていたので驚いてしまった。
まぁ、月々の保険料は払わされる羽目になったが…

案の定、購入して3ヶ月ほどで自損事故。
バイクはオシャカである。
それでも、またバイトを続けて1年後には2台目となるバイクを購入した。
よほど、バイクが好きなのだろう。
この情熱、別な方面にもと親は思ってしまうのだが…

大学に入るとバイク通学でもするのかと思ったら、さにあらず。
さすがに片道約50kmの通学は、しんどかったようで1年間はバスで通った。
そして1年後、いつか言いだすのだろうと予想はしていたが、車を購入した。
車の購入資金、駐車料金、ガソリン代、税金はバイトで払うので
保険だけ頼むという。
まぁ、そういうことならと…
母親曰く、しばらくすると駐車料金、税金は、やや曖昧になり、
払ったり払わなかったりだったらしい。

そんなこんなで、ここ数年の年末年始は息子のバイトのため、
留守番ということで自宅で過ごしていた。
二十歳を過ぎたら一人でもよいのではないかと思うのだが、
別な理由があって母親的には留守番をしてくれと…
女親とは、そういうものかと思いながらも、
一人で過ごす年末年始はラクチンでもあった。
今年(2017年)は、久しぶりに妻の実家で過ごすことに。

のんびりしていた元旦、さて今年はどんな映画をと思いながらネットで
「古い日本映画」を検索してみた。
正月気分で、古い邦画が落ち着くかなといった気持ちが動機である。
そして本作を見つけた。

なんとなくタイトルがいい。
妖艶な気もするし、霊気的な雰囲気も漂う。
日本には白夜が無いはずだが、そこはご愛嬌である。

時代は明治維新後しばらく経っての頃。
高野山に多くの坊主(坊主ではないのかな、修験僧?)が集まって談合している。
明治政府からのお達し、女人禁制を解けという。
ほほう、またまた明治新政府の伝統破壊かなどと思い、それと妖女をどうからめるのかと想像をたくましくしていたら、話は別な方向へ…

上座に鎮座する高僧が、自分自身の若い頃の奇談を語り出す。
「自分は若い頃、一度女に狂った身。皆に声高に女人禁制を説くなと
言える立場ではない」
おやおや、やっぱり怪奇話かと少し安心した。

 泉鏡花という小説家の「高野聖」という作品をもとにしている。
ちらりと原作を舐めるように読んでみたが、ずいぶん設定が違うことに驚いた。
原作には高野山の談合も、高僧も出てこない。
一介の旅の僧(一応、名の知れた僧であるらしいと注釈はあるが)が、
同じく旅をしている「私」に語りかける、ある意味では怪談話に近い。

本作の回想話の展開、前半は原作に近い。
若き高僧が旅の途中で災難に見舞われ(蛇や蛭に襲われる)、
ひと気のない古民家(孤家)にたどり着き、美しい女とその夫(白痴)、そして彼女に仕える下男に出会う。

この妖艶だが清々しさもあわせもつ不思議な美女との出会いが、
高僧をして女に狂う煩悩の負け犬と化すのであるが、描き方は昨今の西洋化した単刀直入な描写ではない。
むしろ、イラつくほどの大人しい映像である。
しかし、これ妄想力を刺激するんだなぁ。

美女を演じているのは月丘夢二。
若き高僧との入浴シーンがあるが、肌の露出は無いに等しいのだが艶っぽい。
思春期に映像ではなく文字で想像することに慣れている年代だからだろうか、
心臓の鼓動が大きくなるシーンであることに、我ながら呆れてしまった。

残念だったのは、この小屋に到着する前のくだりが、
一部映像がカットされていることだ。
何か不適切な表現でもあったのだろうか。

さて、この妖艶な美女、実は妖術も使う。
白痴の夫は、その地方の由緒ある家柄の出で、彼女は子孫を残すために囚われの身。
だが、代わりに情を移さなければ男を誘い込んでもお咎めなし。
いつしか彼女は、その清々しい容姿とは別に男を誘い込んでは一夜を楽しみ、
その後は男を犬畜生に変えてしまう魔女になっていったのだ。
憐れ、役立たずの男は蛇や蛙や蝙蝠に…

そんな彼女が若き高僧に惚れてしまい、高僧も女に身も心も捧げようとする
悲恋の物語なのであるが、原作はそういうことではないらしい。
さらに、本作では高野山の女人禁制話が絡んで、
ややテーマが分散してしまっているように思う。
悲恋物語が原作とは異なるとしても、もう少し美女に血迷い仏道と性欲の間を
葛藤する若き高僧の姿を描ききれれば、それはそれで一つの物語として
筋は通ると思うが、どうだろうか。

時折映る日本の風景が美しく、妙に目に焼きつく作品だった。

白夜の妖女.jpg
日活HPより

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